先日、母親のパシリで、母の名義になっている実家にかけてある地震保険の更新支払いの振込みに銀行に行った。母に頼まれる用事は、数々あるのだが、振込み自体の作業を仰せつかったのは初めてのことだ。振込み方法は、口座から口座への振込みでなく、現金で入れる振込みだった。


無事、振込みも終わり、意気揚々と振込み明細を母に渡したところ、母は目を三角にして怒った。「ちょっと、なんで私の本名を打たなかったのよ!!」と。


考えてみると彼女は外で名前をいろいろ使いわけているのだ。彼女のプライバシーもあるので、彼女の本当の名前を仮に『ミヨ』とするとしよう。だけれども、彼女が外で使っている名前は、『ミヨ子』『みよ』『みよこ』『みよ子』『ミヨ子』『美代』『美代子』『御世』『御世子』『御代子』『美世』『美世子』etc。。といろいろなパターンがある。


これだけあると、どれをどういう風に使い分けているのか、ややこしいと思うのだが、彼女は、仕事上や通販などの買い物の時でも会社ごとに名前を変えていて、友人、知り合いもそれぞれいろんな名前をおしえているのだ。


こうちょこちょこと七変化しているのだから、実の子供の私でさえ、何が本当の名前なのか分からず、今回彼女のお気に入りの偽名の一つである『ミヨ子』を使ってしまったのである。ああ~、超紛らわしいんですけど。こないだアメリカザリガニとかいうお笑いのかたわれの人が「うちのおかん、名前をいくつも使いわけてるんですよぉ~」とか言って笑われていたが、私の母も全く同じパターン。


母がこうやって名前を使い分けるには、彼女なりの論理があるらしい。彼女が言うには、名前を変えることで、身に覚えがないDMなどが送られてきた時や売り込みの電話があった場合、名前を使い分けていることで、どこから情報が漏れたか分かるとのことらしいのだ。彼女は、何に対しても疑ってかかる人間で、私は小さい時から彼女に「テレビが言ってることとか、政府が言っていることとか、丸呑みに聞くんじゃないよ。どんなことでも『裏』があるんだからね~。『裏』が。」と繰り返し繰り返し言い聞かされてきた。??と思うことも度々なのだが、彼女の偽名の論理は彼女なりに筋が通っているらしい。


今回私が彼女の本名を間違えて送金したことは、彼女からすると、保険の類は正式なものだから、もし地震が起きて、保険が適用される場合、『偽名』だとお金がおりないかもしれないと不安に感じたからとのこと。でもって、保険会社に「あの、今日振り込みに行ったんですけど、うちの娘が名前を間違えてしまって、本当の名前はカタカナの『ミヨ』ですから」とエクスキューズしておりました。


でもさ~ そんなに社会というか、世間に対して敏感な母のこの行動だけど、そんなことをやることが本当に意味があるのだろうか?どうなのさ?私の中でどうもすっきりしない。それとも、もしかしたら、うちの母、実はスパイとかだったりして。あはは。